課題名 |
代表者名 |
代表者所属 |
概要 |
電磁流体コードによる惑星磁気圏シミュレーション[報告書] |
深沢 圭一郎 |
情報通信研究機構・電磁波計測研究センター宇宙環境計測グループ
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宇宙空間はプラズマで満ちており、そのプラズマダイナミクスをシミュレーションにより研究することを目的とする。その宇宙空間において惑星磁気圏のようなグローバルな構造に注目する場合、電磁流体(MHD)近似が成り立ち、MHD方程式によってその構造はよく表される。現在MHDシミュレーションは磁気圏観測結果の理解だけでなく、観測に先立つ磁気圏ダイナミクスの予見にも役立っている。
今までに我々が行ってきたMHDシミュレーションでは、計算機の能力的問題から時空間解像度を理想よりも粗く設定しており(惑星によるが、約10倍〜1000倍程度)、扱えていないプラズマ乱流構造、磁気圏がお椀型に変形するなど再現できていない観測結果がある。
本課題では、MHDコードを用いた惑星磁気圏シミュレーションを行い、特に土星磁気圏に焦点を当て、高解像度長時間発展下における惑星磁気圏の構造を明らかにすることを目的とする。シミュレーションコードではスカラー計算機で高効率の実績のある直行格子3次元領域分割を用いて、東京大学T2Kスパコンに最適化させていく。
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海洋大循環のマルチスケール連結階層モデリング[報告書] |
羽角 博康 |
東京大学気候システム研究センター |
海洋循環は、水平1 km以下のスケールで生じる対流や混合現象から、水平100,000 kmスケールに及ぶ全地球規模循環までの間で、様々なスケールを持つ現象のスケール間相互作用の結果として形成されている。海洋循環の形成や変動のシミュレーションは、数十年から場合によっては数千年という時間スケールを対象としており、全海洋を一様に1 km程度の解像度で表現しつつそれを実施することは10年程度の将来を見越しても不可能である。大循環の形成という視点から見た場合、小規模スケール現象が重要となる領域は限定されているため、適切な連結階層化によるシミュレーションが可能であり、また必要とされる。本研究は、ネスティッドグリッド手法による連結階層海洋大循環モデルについて、高並列環境におけるチューニングを目的とする。
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津波発生伝播の大規模3次元シミュレーション[報告書] |
古村 孝志 |
東京大学大学院情報学環・総合防災情報研究センター |
将来発生が危惧される巨大地震による津波被害の軽減を目的に、大規模津波シミュレーションのための大規模計算コードを開発する。既に開発した3次元ナビエ・ストークス式の差分法計算に基づく津波計算コード(Saito and Furumura,2008)を改良し、T2Kオープンスパコン(東大)に代表される、スカラー型超並列計算機において高い並列化スケーラビリティ(8192コア以上)と実効性能(ピーク性能比8%程度以上)を引き出すことのできる実用化コードを整備する。これにより、現在のモデルより計算時間を10倍以上、計算規模を8倍以上大きくした大規模津波計算を可能にする。さらに、デカルト座標系における津波計算を極座標系に改良し、遠地巨大地震による地球規模の津波計算を実現する。
本津波計算コードを用いて、近年の2007年千島列島地震や2004年紀伊半島南東沖など、近年の津波地震の大規模・高精度津波シミュレーションを実施し、沖合ケーブル津波計で記録した津波データとの比較からモデルの有効性と精度を検証する。
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地球ダイナモの新しいシミュレーションコード開発とその応用[報告書] |
陰山 聡 |
海洋研究開発機構・地球シミュレータセンター |
地球ダイナモに関する計算機シミュレーション研究において、これまで我々は理想化されたモデルに基づく高解像度計算に注力してきた。今後は、地球外核の現実環境を可能な限り反映させた複合的なモデルに基づくシミュレーションの重要性が増すであろう。多数のスカラープロセッサが結合されたスーパーコンピュータはそのような複合シミュレーションに適している。本研究の目的は、T2Kオープンスパコン(東大)に向けて最適化した地球ダイナモシミュレーションの新しいコードを開発することである。まずは地球シミュレータ向けに開発した従来の我々のコードをT2K(東大)向けに最適化し、そこで得られた知見を生かして、基本アルゴリズムから検討し直して新たなコードを開発する。単純モデルによる高解像度・短時間計算という従来のアプローチとは相補的な、複合モデルによる中解像度・長時間計算により、地球双極子磁場の成因とその逆転機構に関する新発見を目指す。 |
超並列計算によるマルチスケール・マルチフィジックス心臓シミュレーション[報告書] |
久田 俊明 |
東京大学大学院・新領域創成科学研究科 |
当研究チームでは、細胞イオンチャンネルや収縮タンパクの数理モデルから出発し有限要素法でモデル化された心室の収縮、血液の拍出に至る現象を一貫して再現できる国際的にも突出したし心臓シミュレータ、UT-Heartの開発を行ってきた。一方、有限要素法に基づく心筋細胞も並行して開発し、両者を組み合わせることでシームレスなマルチスケール・マルチフィジックスシミュレータを開発中であり、最終的には次世代スパコン上での数十万個の細胞を用いたマルチスケールシミュレーションを実施することを目指している。今年度7月のHPC特別プロジェクトにおいては規模を縮小した心臓モデルと細胞モデルにより、最大6144コアを用いたマルチスケールシミュレーションを実施し、非常に良好なスケーラビリティを得た。また、さらなる高精度なシミュレーションを行なうことにより、基礎医学や創薬への貢献が可能であると考えている。本共同研究プロジェクトにおいても、次世代スパコン上での実行を見据えて、各モジュールのさらなる高速化・高機能化を実施する予定である。
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